COLUMN コラム
「コーディング」の先にある、課題解決の「設計図」を描け。
生成AI×数理最適化で社会の“ムリ”を解く、モーション流エンジニアリング
―― 2025年度インターンシップを終えて 【後編】

AI・データ分析室 室長

社長室長
<本記事は前編・後編と2部構成になっています>
後編
技術が民主化する時代に、エンジニアの価値はどこにあるのか。
数理最適化×実装で社会とつながるモーションの思想
前編はこちら https://www.motion.co.jp/optimization/column/001.html
生成AIの進化にみる「IT技術の民主化」とエンジニアの未来
仁井中西さんは以前から、「AI技術の進化がエンジニアのあり方を変える」とおっしゃっていますよね。今回のインターンシップにも、その考えが反映されているのでしょうか。
中西はい。今のIT業界は「オープン」が前提です。秘伝の技術をクローズドにする時代ではなく、Googleなどの大手企業がAI技術を公開し、業界全体で共有しながら、驚異的なスピードで進化させることが常識になっています。
昨今のAI進化は目覚ましく、半年もあれば専門家レベルの助言ができるAIを構築できる時代です。今回のロードバイク解析の成果も、将来的には専門知識を学習させ、人にアドバイスを行うAIサービスへと発展させられると確信しています。これは数年以内に確実に訪れるトレンドです。今回のインターン生は、その最前線の一端を担ってくれたわけです。
また、極論を言えば、「コードを書くこと」自体の敷居は劇的に下がっています。誰でもプログラムが作れる時代が現実になりつつある。だからこそ、エンジニアの価値は「どんな課題(What)を、どう解決するのか(How)」を設計する力へとシフトしているのだと感じています。
仁井「ただ作れる」だけでは強みにならない時代において、モーションとしては、どのようなエンジニアリングを目指しているのでしょうか。
中西私は、AIは非常に強力な技術である一方で、「過去のデータを学習しなければ答えを出せない」という弱点も持っていると考えています。私たちがサービスを提供しているビジネスの現場では、複雑なスケジューリングや人員・タスク配分のように、そもそも「正解データ」が存在しない課題が数多くあります。
そこで重要になるのが、学習データに依存しない「組合せ最適化」という統計解析のアプローチです。数理計画法、アニーリング、ヒューリスティック解法などアルゴリズムを用い、膨大な選択肢の中から論理的に「最適な解」を導き出す技術です。
AIが「学習」によって傾向を掴むのに対し、最適化は「計算」によってベストな答えを叩き出します。
この高度な数理技術を、机上の理論で終わらせるのではなく、「現場で使えるシステム」として社会に実装すること。それが、モーションの目指すエンジニアリングであり、他にはない強みだと考えています。そのためには、まだ顕在化していない現場において真の課題は何か、あるべき姿はどう描かれるのか、考え抜く問題解決の設計力が欠かせません。
仁井アカデミックな視点にとどまらず、実務家として「使える技術」を追求し続ける、モーションらしいスタンスですね。
企業と学生が「共創」するエコシステムへ
仁井企業がインターンを受け入れる目的として「採用」は当然ありますが、中西さんのお話を伺っていると、それ以上の想いを感じます。
中西正直に言えば、優秀な彼らにモーションに入社してほしいという下心はあります(笑)。ただ、それだけではありません。
今の学生は本当に優秀です。彼らの新しい感性や、AIを空気のように使いこなす感覚に触れることは、私たち社員にとっても大きな刺激になりますし、社内の活性化にも繋がると考えています。
仁井学生にとっても、大手企業だけでなく、私たちのような規模の会社で「手触り感のあるビジネス」を体験することで、キャリアの選択肢を広げることにもつながりますね。
中西その通りです。世の中には多様な会社があり、文化や仕事の進め方は千差万別です。学生のうちに複数の会社をみて、その場の空気感や仕事の進め方を肌で感じることは、将来の選択肢を広げる上でも非常に重要だと思います。大手企業で専門性を深めるのか、ベンチャーのように企画から開発まで関わるのか。モーションのような規模の会社だからこそ、プロジェクト全体を俯瞰できるという魅力もあります。実際に体験してみて、どう感じるか。インターンだけですべてがわかるものではありませんが、実際に多くの学びをもたらします。また、企業での実務体験が、学校での学びをより深いものにしてくれるとも考えています。
そして何より、エンジニアの世界は技術でつながるコミュニティです。学校で研究を続ける道も、別の企業に進む道もありますが、同じ技術言語を話す仲間として、将来どこかでパートナーとして再び協業する可能性もある。その積み重ねが大きなイノベーションの波を生むと信じています。
仁井ただ競争するのではなく、技術で社会を良くする仲間を増やしていく。それが結果として、業界全体の発展や社会課題の解決に繋がっていく・・・、企業と学生、学校が共創するエコシステムですね。
中西はい。モーションは、最先端のテクノロジーを積極的に取り込みながら、新しい風を吹かせ続けています。
学生の皆さん、そして若いエンジニアの皆さん。新しいものを一緒に立ち上げるというエキサイティングな体験を、ぜひ私たちと共にしてほしいですね!