COLUMN コラム
「コーディング」の先にある、課題解決の「設計図」を描け。
生成AI×数理最適化で社会の“ムリ”を解く、モーション流エンジニアリング
―― 2025年度インターンシップを終えて 【前編】

AI・データ分析室 室長

社長室長
<本記事は前編・後編と2部構成になっています>
前編
正解のない課題に向き合うということ。
モーションのインターンが“実務そのもの”である理由
はじめに:モーションのユニークなインターンシップとは
仁井モーションは、世の中の「ムダ・ムラ・ムリ」といった社会課題を、最適化をコアとした技術で解決することをミッションとしています。その技術の核心を担うのが、中西さんが率いるAI・データ分析室です。
今回、武蔵野大学データサイエンス学部から3名の学生をお迎えし、約3ヶ月間にわたる長期インターンシップを実施しました。今年で5年目となりますが、今回は、これまでのインターンシップで取り組まれてきた「数理最適化の課題実験」とは一線を画す、非常にユニークなテーマだったと聞いています。
中西そうですね。これまでは数理最適化そのものをテーマに、例えば「普段の業務では手が回らないが、試験的に検証しておきたいこと」に取り組んでもらっていました。すぐに顧客に提供するものではありませんが、ゆくゆくは会社の価値となり、社会貢献にもつながる生きた課題です。
モーションのインターンでは、毎年、用意された課題をなぞるような「体験型」ではなく、本格的で実務に近いテーマに取り組んでもらっています。その中でも今年は特に、「実際に料金をいただく、本物のサービスの新機能開発」に挑戦してもらった点が大きな特徴です。
具体的には、AI姿勢推定技術を用いてロードバイクのフォームを解析するコーチングサービス「RideForm AI」の開発プロジェクトです。
「答えのない課題」こそが、リアルな開発現場
仁井教科書的な課題ではなく、まさにビジネスの現場ですね。学生たちにとって、実サービスの新規開発はかなりハードルが高かったのではないでしょうか。
中西ええ。あえて「正解が用意されていない課題」を渡しました。
学校の授業とは違い、ビジネスの世界には「こうすれば100点」という答えはありません。自分たちで仮説を立て、限られた期間と技術力の中でどう検証するか。そこを泥臭く考え抜くことが、実務のリアルです。
AI技術進化によって、エンジニアの定義は今、大きく変わりつつあります。単に技術を学ぶだけでなく、「技術を使って社会にどんな価値を提供するのか」。その本質的な問いに向き合ってほしかったのです。
仁井 学生たちの反応はいかがでしたか?
中西想像以上でした。彼らは自発的に役割分担し、未知の課題に対してしっかりとアウトプットしてくれました。
特に印象的だったのは、単なるデータ分析に留まらず、「後方から見た自転車フォームの良し悪しを判定する特徴」という、サービス化において極めて重要な知見を自ら見つけ出したことです。これは我々にとっても新たな発見でした。
仁井まさに、モーションが取り組んでいる「一見複雑な要件が組み合わさった事象に対し、現場の実データから最適な解を導き出す」アプローチそのものですね。
中西その通りです。厳密な意味での「数理最適化」とは少し異なりますが、速く走るための最適なフォームをデータから導き出すという点では、これはデータ分析の王道であり、広義の最適化そのものだといえるでしょう。
編集メモ|前編を終えて
今回のインタビューを通じて語られたのは、「技術が使える」だけでは、もはや十分とは言えないという現状でした。生成AIの進化により、コードを書くこと自体の価値は、大きく変わりつつあります。では、これからのエンジニアは、何を武器に、どこで価値を発揮していくのでしょうか。後編では、生成AI時代におけるエンジニアの役割と、モーションが目指すエンジニアリングの未来像について、もう一歩踏み込んで掘り下げていきます。